じゃーじゃー流れる…
寅さんの啖呵売(たんかばい)に、
「四谷、赤坂、麹町、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水…」
なんてありました。
それだったら、今回は、
「湯島聖堂、宥坐之器、じゃーじゃー流れる御茶ノ水…」
ってな感じ。
これ、知的歴史文化体験工芸装置です(思いついた漢字、全部くっつけてみた)。
駅前にある聖橋(ひじりばし)の目と鼻の先。練壁が段になって見えています。
本当に、すぐそこ。

ここは、儒家の始祖である孔子を祀った霊廟で、大きな孔子像があります。
寅さんだったら、
「てめぇ、さしずめインテリだな!?」
なんて、言ったとか、言わないとか ^^;
この霊廟、1690年五代将軍綱吉によって湯島の地に移されたそうです。
その後(1797年)、昌平坂学問所(しょうへいざかがくもんじょ)が開設。
日本の学校教育の発祥地とされている場所です。
200年前、学校教育の始まり、ここにあり!

聖橋を渡るとすぐ聖門、そのちょい先に西門がある。

西門から大成殿(たいせいでん)へは、ほぼほぼ平坦。
こちらからが入りやすい。


敷地に入ると思いのほか静かで、野鳥の声がよく通る。
周囲は、ビルが林立する都会。
それと感じさせない空間で、落葉した木々を飛び回る小鳥が見え隠れしています。

訪れたのは、二月。
季節柄、びっしりと合格祈願の絵馬、絵馬、絵馬…。
努力の結果が実るとよいですね!
がんばれ、受験生!

敷地内のあちこちに、大きな木がしっかり生えていています。
流れてきた時間の長さを感じます。

さっそく、大成殿の中庭へ。この日は、人影も少なめ。

この建築物、厳かな空気の中に、古代の中国を感じさせる。
子どもの頃に観たカンフー映画を思い出す…。
・・・・・・・・・・・
建物の影から、悪漢に追われた娘が走ってくる。
隅で寝ているヨボッちぃ爺さんが、実は達人。
悪漢を手玉に取って追い払い、大きな瓢箪から酒をグビリ…グビリ…と口に含むと、また居眠りに戻る…
・・・・・・・・・・・
という脳内映像が再生されたとか、されなかったとか!?

宥坐之器(ゆうざのき)
宥坐之器とは、すぐ傍らにおいて自身の戒めとする器のことで、6500年前に中国の古代人がつくったものが原型だとか。
けっこう、昔です。
「虚なればすなわち傾き、中なればすなわち正しく、満つればすなわち覆る」
ノッポさんの帽子を逆さにしたような、煮炊きに使う鍋のような、この器。
これが〈中庸の徳〉を教える器です。


空だと、器が少し傾いています。

ここに、ちゃらちゃら流れる御茶ノ水を入れていくと

心なしか、まっすぐ立ってきたような…

しっかり入ると、ずしっと収まった感がでる。

もう少し…入れてみましょう、御茶ノ水。

グビリ、グビリと飲ませるように…
それは、突然やってきて

じゃーじゃー流れる御茶ノ水…

こぼれ切って…

まったく、なし!
この器、作るときの調整が難しそう^^;

これを見ていたら、お酒の呑み方にも通ずるような気がしてきました。
呑まないと、何かが足りず、飲みたい気持ちに傾きます。
飲み進めると、調子がよくなって、いい気分でクイクイいっちゃう。
気持ちがほどよく満たされて…。
この辺で、やめとけば良いのですが…
ニンゲン、そうも行きません。
最後、飲みすぎると、
全部出ちゃう…^^;
6500年前も、そんな感じだったんですかね〜^^;
ほどよく嗜むのがよろしいようで。
訪問日:2025年2月